1961年1月、講談社から刊行された安岡伸好(1918~)の長編小説。
私は、この作品で、私が生きている場所をたしかめてみたかったのです。生きにくい、生きられない、という言葉は、いきなり破壊ということではなしに、私にとっては、その場所を検討する作業へとしぜんにつながっていくものだったからです。
島での生活と本土での生活が、いつも私のなかに重なり、とけ合わずに並存しているために、とくに私はこうした場所への関心が強いのかもしれません。しかし、これは、苦い、こっけいな作品でした。
(「あとがき」より)