1976年2月、潮流社から刊行された大木実の第11詩集。
前詩集「冬の仕度」以後四年間に書いたものをここに集めた。私の十一冊目の詩集ということになる。詩を書いて四十年、――私の書くものは狭いわたくしごとである。儚く寂しい。
「夜半の声」を「四季」に出したとき「おおぎ君、MはM子さんかね」と、あの、ちょっと怖い、そして優しい眼差で、丸山さんは微笑されたが、――その丸山さんも亡くなられ、私の人生はいっそう寂しいものになった。
(「あとがき」より)
目次
- 夜半の声
- ザクセンの杏の実
- 愛
- 公園のベンチ
- 訪問
- 帽子
- 配所の月
- 消息外
- モッコクの花
- 春日
- 空白
- 鳥籠
- 風景
- ビオラ
- タムタム
- 未完成交響曲
- チェロのように
- 時間とともに
- 青春
- 五千年の後
- 宿題
- 駅のプラットホーム
- 川越線のプラットホーム
- 貨物線
- 月光
- 米沢から
- 湧き水
- 踏切
- 変わりめ
- 砂糖豆
- 夏の日
- 少年
- 娘
- 父と娘
- 目覚ましのベル
- 日曜日
- 父と息子
- 台所
- 妻
- 結婚
- 遠い夏
- くさなぎの駅を過ぎて
- 午後三時
- 耳
- 裸木
- 時計と心臓
- 僕の死
- 旅立ち
- 夜半目覚めて
あとがき