1995年1月、摩耶出版社から刊行された永井ますみの第5詩集。
長いみちのりだった。一九八六年「現代詩神戸」に第一作を寄せてから八年をひたすら連作してきた、但し毎号といかないのだが。ゆきずまって書けない時、仲間から催促のことばを聞くのは喜びだった。一作にその当時読んだひとつの本の題名を借りて、共感も反感も込めて。その時々のこだわりを載せてきたつもりだ。このようにひとつのかたちを与えることで、こだわりは私から離れるだろうか。
書き進める途中、昔の仲間に素顔で出会う事が出来た。これも小さな成果かもしれない。ちいさな私の生の循環、詩集として纏められた地点まで、これでたどり着けただろうか。
二部に収めたのは詩の師ともいうべき伴勇氏、夫の母、夫と私を引き合わせ今日の私をあらしめた人、そして私は父をこの春うしなった。生あるものは必ず滅びるというけれど、地球のこの自然も又挽歌の対象だろう。 虫けらと一緒にしやがってと、伴氏はいうかもしれないけれど、その魂は他の生き物だった魂と混沌として凛い、時折、私の胸のなかに落ちる
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 時の本棚
- 大地
- 友情
- 聴く
- 玉川大学金言集
- 種の起源
- 精神分析入門
- 原付自動二輪教本
- 怒りの葡萄
- 車輪の下
- マルテの手記
- 看護学概論
- 解剖見学
- フィールドワーク
- 訊かれる
- 夜と霧
- 吠える
- 日本女性史
- 流れる
- 貴族の巣
- 他人の顔
- 桜の園
- 夜明け前
- 新詩流
- 風の中で
Ⅱ 挽歌
- そらの なぎさを
- 月
- 破壊
- あいさつ
- たきび
- 鮒達の
- 与える
- かたち
- はなあかり
- 居なくなったお義母さんへの詩
- 納骨
- ホタルになって
- スケッチ
- 満月
- 初盆
- 酒
- 草の村異聞
あとがき
関連リンク
山の街から(永井ますみホームページ)