1987年6月、矢立出版から刊行された及位覚(のぞき・さとる、1952~1983)の遺稿詩集。編集は永岩孝英。及位は友川かずきの実弟。
このような広告を出してもらうつもりです。
『顔からして嘘つきらしい、笑うと気味悪さが正直に出た。
彼は無邪気な語らいが、ほのぼのさへと還元される前に、と一緒に侮蔑の殺し文句ばかり吐いて歩き、知人の生活に不快さ以外何一つ与えなかった。
まして彼は、死ぬ直前まで、透き通る程の色白のハンサムであり、ロマンチストだと信じ疑わなかった。
昨日彼は、俺が死んだら、さぞや知人の悲しみは、いかほどか、と鏡に自己を写し、死別の前の時間をついやし、骨にもしみる心地良さに酔っていた、と。
そうそれから、得意とする斜め4度の、すまし顔を極力おさえたあの写真を遺文の脇に私の死を良し、として凧にしてのせること。』と、このような広告を出してもらうつもりです。
目次
- 猫
- 古里
- 訛り
- 盲腸の里
- 途上
- 愛しい時間
- 風の子
- 悲しい糸
- 指輪
- 拳統
- 野犬
- 僕のすね毛に美はないよ
- 鬼
- 二十一歳
- 時
- 神戸
- ナメクジ
- 回想
笑えない孤独 サトルのためにわずかばかりのこと 三上寛
サトル 福島泰樹
「覚(さとる)」オメデトウ 友川かずき
及位覚略年譜