ヒロシマ連祷 石川逸子詩集

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 1982年8月、土曜美術社から刊行された石川逸子(1933~)の長編詩。第4詩集。表紙は吉野誠、扉写真は北一明、装幀は加藤幾恵。

 

 広島を始めて訪れ、ヒロシマの心にふれたのは恥しいことに僅か十年足らず前、七五年の夏であった。戦後三十年の歳月が流れているのに、”あの日”以後、時が止まってしまっている方たちにそこで出会った。美しい本川の流れのなかにひそんでいる地獄絵をかいまみた。自らも長崎の被爆者である江口保氏の深い情熱を牽引力として、その翌年から、私の働いていた学校、葛飾区立上平井中学校でのヒロシマ修学旅行が始まった。気が付くと、ここ七年ほどの間に十回あまりも慰霊碑の前に立っていた。ヒロシマの傷は探れば探るほど深いことを知った。なのにいま、おびただしい核、原発中性子爆弾の製造……。
 作品の多くは、「輔」(飯岡亨氏発行)に発表したものである。「広島通信」「無名通信」「新日本文学」「反戦詩画集」「現代詩集成」「リヴィェール」にもその一部を発表している。
 表紙の絵は、子どもたちのすばらしい共同制作、「平和の叫び」(丸木美術館展示)、「人類の墓標」「永遠の飛翔」を指導された広島の美術教師である吉野誠氏(自由美術会員)に描いていただいた。
 扉の写真は、「野ざら屍」「白木の柩」「あの刻の告発」「大君の辺にこそ死なめ」等々の凄絶な作品(作品の数点は広島美術館、二十世紀美術館、飯田市の離騒一宇舎に常設展示)を生み出されてきた彫塑、陶芸家の北一明氏のカレンダー、「鬼哭啾啾」から撮らせていただいたもの。
(「あとがき」より)

 


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