幻燈画 菊池正詩集

 1970年8月、木犀書房から刊行された菊池正の詩集。装画は加藤喜夫、帯文は大木実

 

 二十代から今日までに書いた旅の詩を集めてみた。その多くは、一夜二夜泊りのゆきずりのものであったが、時には何月と逗留が長びき其処でのあけくれがすっかり身に添うたこともあった。しかしたずね行くさきは、故園のような安らぎを感ずる古い寺々や、茅屋根にペンペン草がゆれ、火の見櫓だけがひときわ高い名もない山村とか、かたむいた庇煤けた障子を見ていく旧道沿いの駅路ばかりだったと、あらためて自ら驚いているのである。そのいずれもが、私の生きのすがたそのまま、ひっそりと果てのない孤愁を求めての行路であったといっていい。作品はおおよそ年代順にまとめ配列した。そこに、つたない己のせいいっぱいの移ろいを、せめてうかが得ればと思うのである。
(「あとがき」)

 


目次

・帰郷

  • 旅上吟
  • 南総季語
  • 帰郷
  • 不来方風物詩
  • 稲瀬街道
  • 冬晴
  • 関西線沿線
  • いわつばめ
  • 村ぐらし
  • つつじの宿
  • 冬日
  • 羽越線余目駅
  • 潮風の中で
  • 興福寺境內
  • 山のスケッチ

・山居

・鳥影


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堂本万里子遺稿集

 1983年4月、私家版として刊行された堂本万里子の短編小説集。遺稿集。編集は石田八重子と原之園康子。題字は中谷孝雄。

 

目次

序に代えて 中谷孝雄

  • 晩雷
  • 犠牲者
  • 土砂降り
  • 湖はそこに
  • 当直の夜
  • ある出逢い
  • ある愛

ご挨拶

あとがき

作品発表年譜


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野の書物 阿部日奈子

 2022年7月、インスクリプトから刊行された阿部日奈子(1953~)のエッセイ集。装幀は間村俊一、写真は小原佐和子。

 

目次

治学』

  • 時代は変わる 『青年〉の誕生――明治日本における政治的実践の転換』
  • 言語化された安川加壽子のピアニズム 『翼のはえた指――評伝安川加壽子』
  • 意志と情熱がほとばしるフィルモグラフィ 『映画監督 増村保造の世界――

《映像のマエストロ》映画との格闘の記録 1947-19886』

  • 名訳詞華集に託された祖国への思い 『金素雲『朝鮮詩集』の世界―――祖国喪

失者の詩心』

  • 亡命人生をも愛した不屈の映画人 『ベーラ・バラージュ――人と芸術家』
  • はざまにいる容疑者 『容疑者の夜行列車』
  • 妄執の伽藍を支える饒舌 『女學校』
  • 周作とは誰か―『秋津温泉』に見る戦後批判  『秋津温泉』
  • バランシンとファレル 『バレリーナ スザンヌ・ファレルの回想――バランシ

ンと私』『バランシン伝』

  • 「放っといてくれ」――自閉と自足 『ベケット伝』
  • 典雅によろめく令夫人――デルフィーヌ・セイリグ 『ブルジョワジーの秘かな

愉しみ」

  • 無為のついたての内側で起こっていること 『ヴィオルヌの犯罪』
  • 世界の再生を祈って炎に包まれた僧侶 『焼身
  • 名付けえぬ関係のほうへ 『ルーガ』
  • この人の推す本なら読んでみたい 『アジアを読む』
  • 子の〈文弱〉を受け容れる父 『悲劇週間』
  • 回想が照らし出す文豪の心性 『谷崎潤一郎伝――堂々たる人生』『谷崎家の思
  • い出』『われよりほかに――谷崎潤一郎 最後の十二年』
  • 当事者の声を聴く 『私は「蟻の兵隊」だった――中国に残された日本兵』『棗

椰子の木陰で――第三世界フェミニズムと文学のカ』『島唄の奇跡―白百合が奏

でる恋物語、そしてハンセン病

  • 読書日録Ⅰ 『音楽と文学の対位法』『映画と身体/性』『衰耄する女詩人の

日々』

  • 読書日録Ⅱ 『虹の鳥』『文藝ガーリッシュ――素敵な本に選ばれたくて。』

『蝶か蛾か』

――人間の大地 労働』『素描、その果てしなさとともに』

  • 舞踊家・伊藤道郎の見果てぬ夢 『夢なしにはいられない君――舞踊家・伊藤道

郎の生涯』『伊藤道郎 世界を舞う――太陽の劇場をめざして』ほか

  • 愚行からしたたり落ちる光 『悪人』
  • 苦の娑婆だからこそ生きている 『とげ抜き――新巣鴨地蔵縁起』
  • ダニエル・シュミットのスイス絵本 『楽園創造――書割スイス文化史』
  • 調べと意味、力点の異なる二つの訳詩 『再訳 朝鮮詩集』
  • 強い母が老いるとき 『精G――母と子の絆』『シズコさん』『マザー・ミレッ

ト』

  • 事実は映画のなかで生き続ける 『ドキュメンタリーの海へ―― 記録映画作家

土本典昭との対話』

  • つくろわない文章の魅力 『小高へ――父 島尾敏雄への旅』
  • 死者に捧げられた文学 『光の曼陀羅 日本文学論』
  • 人生の闘士になった心情新左翼 『フランス的人生』
  • 病んで聴くチェット・ベイカー 『美と破局 辺見庸コレクション3』
  • 眼福ムラタ・コレクション 『偏愛ムラタ美術館』
  • 譲らない人々――十冊の本 『山窩調』ほか
  • 子供っぽさについて 『文学と悪』
  • 間にあった評伝 『吉本隆明の帰郷』
  • だいこんと沖縄 『だいこん』
  • ルネの言葉 『サド侯爵夫人』
  • ノマドロジストの知と気骨 『きだみのる―自由になるためのメソッド』
  • アレクサンドリアの厭世詩人 『ギリシア詞華集3』
  • 雲を追いかけて 『鎌倉佐弓全句集』
  • 嘘とめっき――『生命の樹』の由美子 『生命の樹
  • フーリエと私――詩「未来はオーレンカのもの」をめぐって 『愛の新世界』
  • いのちを分かちあう食卓 『パンと野いちご――戦火のセルビア、食物の記憶』
  • 叡智をふだん着のようにまとい冒険へ出かけた人 『須賀敦子さんへ贈る花束』
  • 試金石としての〈女の半生〉 『眠る女』
  • 二重になった世界 『空き家の夢』
  • 素晴らしい低空飛行 稲垣足穂〈飛行機もの〉あれこれ/『黒ヶ丘の上で』
  • 篋の底の詩 『神西清全集』第一巻
  • 放浪の歓び 『旅の重さ』
  • アマビエとロマネスク 『ロマネスク美術革命』
  • 二○○○年代の軽やかなパロディ精神 『歌舞伎ゆめがたり』
  • 多感な自然児 『波紋』
  • 誰にも居場所がある世界 『「戦後」の思想――カントからハーバーマスへ』
  • 野の書物――多感な自然児の系譜

初出一覧
「野の書物」 に登場する書籍・映画のリスト

 

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増補改訂 小説の研究 川端康成

 1942年4月、第一書房から刊行された川端康成(1899~1972)の評論集。


目次

第一部 小說とはなにか 

  • 一 小說とはなにか 
  • 二 創作の動機 
  • 三 長篇小說 
  • 四 短篇小說 
  • 五 主題 
  • 六 筋 
  • 七 性格と心理 

第二部 作家と作品 

  • 德田秋聲 
  • 1 『假裝人物』 
  • 2 『縮圖』 
  • 谷崎潤一郞 
  • 1 『盲目物語』 
  • 2 『春琴抄』 
  • 岡本かの子序說 
  • 1 『生命の娘』 
  • 2 私のはしがき 
  • 武田麟太郞と島木健作 
  • 武田麟太郞 
  • 橫光利一 
  • 天の象徴 
  • 橫光利一 
  • 末期の眼 

第三部 文章論 

  • 現代作家の文章 
  • 新文章論 
  • 1 茂吉・虛子・蕪村 
  • 2 荷風の詩 
  • 3 典型の文章 
  • 4 武者小路實篤 
  • 5 「文芸春秋」創刊の辞 
  • 6 小林秀雄 
  • 7 志賀直哉 
  • 文章について 


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