2019-08-13から1日間の記事一覧

沼での假象 深田甫詩集

1963年1月、思潮社から刊行された深田甫の第1詩集。カバーは梅村豊。 もっとも深く沈潜し、陰険な視線で、存在のすべてを掴むこと、そして重要なのは、認識を存在にすりかえること――それが、詩人に課せられる、表現の使命であるとしたら、ほんらい詩集などと…

瞬間通路 植田章子詩集

1992年10月、あざみ書房から刊行された植田章子の第1詩集。装画は園原潤。 詩集を出すことが決まってから、これまで気づかなかったことに気づくようになった。 英語には「知力の範囲」という意味でkenという単語がある。beyondmykenとは、今の私の心境。安堵…

夕映えの定期便 齋藤怘詩集

2004年10月、土曜出版販売から刊行された齋藤怘の第9詩集。 読み返してみると、この詩集は世間知らずな私の『身世打鈴(シンセタリョン)』である。戦時中、せめて一冊詩集を残したいと思いつめていた二十歳、非才を顧みず詩百篇を自らに鞭打っていた四十歳…