その他歌集

シネマ 石川信雄歌集

2013年4月、ながらみ書房から復刻された石川信雄(1908~1964)の歌集。元版は1936年12月、日本歌人社発行。 とうとう『シネマ』がこの世の光を浴びる日となった。著者石川信雄は勿論であらうが、私にしてからが幾多の感懷なきを得ない。 本來なれば昭和六、…

とこよ人 近江友七歌集

1971年1月、新星書房から刊行された近江友七の歌集。地中海叢書第16篇。校正は大野武、カバーは須賀卯夫。 目次 ・町の音 天満雑記 二十一首 適塾址 九首 一月十日 十一首 古る国 二十首 南島忌 十三首 気多はふり 十五首 青崩峠 二十首 宇陀松山 二十一首 …

魔空 ポリーナのうた 小久保泉歌集 

1970年11月、不動工房から刊行された小久保泉の第2歌集。 目次 第一の歌 幻を熾すと 第二の歌 夕を昇り 第三の歌 朝を盲い 第四の歌 昼を折り 第五の歌 疾走に堪え 第六の歌 空間を妬み 第七の歌 森は眠らず 後記(この疼くもの) NDLで検索Amazonで検索日本の…

火の陰翳 桑原正紀歌集

1986年11月、石川書房から刊行された桑原正紀(1948~)の第1歌集。コスモス叢書第261篇。 とうとう私も歌集を出すことになったか、というのが実感である。今まであまり熱心な歌人ではなかったもう一人の私が、どこかでシニカルな笑いを浮かべているようで何…

海上銀河 久葉堯歌集

1988年1月、石川書房から刊行された久葉堯(くばたかし・1955~)の第1歌集。コスモス叢書第267篇。 私は、山口県は山陰側の小さな町に生れ、大家族の中で育った。日本海に臨むその一帯は北浦と呼ばれ、穏やかで明るい自然に恵まれているが、冬は陰鬱な日が…

囚衣 山田清三郎歌集

1939年7月、文泉閣から刊行された山田清三郎(1896~1987)の第1歌集。 私は、獨房に生活してみた時ほど、自分が內面的に純粋であつたことはないやうな氣がする。私は今大陸の旅を志して新京に來てゐるが、この大陸の旅で、私はそのことを今更らのやうに回想…

十三の階段 福島誠一歌集

1972年12月、土偶短歌会から刊行された福島誠一(1933~1971)の遺稿歌集。福島誠一(小原保)は吉展ちゃん事件の犯人、死刑囚。 書かないでもと思ひ、後記には書かなかった事ながら、校正の為に二度三度読み返してゐある中に、書き残して置くべきだとの考へ…

七月の心臓 兵庫ユカ歌集

2006年5月、SS-PROJECTから刊行された兵庫ユカ(1976~)の第1歌集。ディレクションは萩原裕幸、表紙イラストは中村豪志。 本書、『七月の心臓』はわたしの第一歌集になります。短歌を作り始めた二○○○年から二〇〇三年の間、年齢で言えば二十四から二十七歳…

歌集 廣島

1954年8月、第二書房から刊行された原爆歌集アンソロジー。編集は『廣島』編集委員会(代表は豊田清史)。写真はイサム・ノグチ「平和大橋」。撮影は稲村豊。 灰燼に生きて八年有半、未だ拭われずしてひしぐもの幾多の声がある。この真実なる<広島の声>を歌…

瑠璃猫 梅津ふみ子歌集

1989年7月、七月堂から刊行された梅津ふみ子(1945~)の第1歌集。 子供の頃、祖母や母の昔話や絵本に出てくる鬼が可哀そうでならなかった。どうして退治されなければならないのか、逐われなければならないのか、逃げなければならないのかがわからなかった。…

歌人並木秋人 個性派の破滅と創造 中畑信雄

1985年2月、潮文社から刊行された中畑信雄による並木秋人の評伝。カバーは星襄一。 目次 生い立ち(明治二十六年―明治三十二年) 出生―父系 母系―生母との生別―義母の入嫁 (図版)三島家と東北新幹線 三島家系譜 少年時代(明治三十二年―明治四十年) 生母の再婚―…

空にむかひて 若杉鳥子随筆集

2001年1月、武蔵野書房から刊行された若杉鳥子(1892~1937)の随筆集。 目次 雪のそり橋/朝日 想像 月下に立ちて 葬られざる自己 雨後の下渋谷―岡田八千代女史を訪ふ― 解放したる心の扉の記 不忍 闘ひ疲れて―荒廃せし一年間を筑波の山麓に― 再び上京して 我…

存在 大下一真歌集

1988年6月、不識書院から刊行された大下一真(1948~)の第1歌集。題簽は窪田章一郎。まひる野叢書第84篇。 目次 I生死 生死 現世 生縁 一樹 蝉 石仏 世尊の大地 這いつくばって 一生貫く 苦悩仏 いずこへ 白き声 哭 霜は降りいん Ⅱ浄白 月下 春愁 夏の陽 青…

ジャスミンを銃口に 重信房子歌集

2005年7月、幻冬舎から刊行された重信房子(1945~)の歌集。装画は著者、装幀は幅雅臣。 目次 ・炎 ジャスミンを銃口に 岩場に咲くコクリコ 紅蓮たちのぼる ・宙 草原に蝶を追う バラがまた咲く 砂漠に眠る ・海 飲み干した夏 わが胸も雨 ・土 地面踏む 青…

galley 澤村斉美歌集

2013年11月、青磁社から刊行された澤村斉美の第2歌集。装幀は濱崎実幸。塔21世紀叢書第237篇。 本や雑誌、新聞を作る過程で「ゲラ刷り」というものが出る。「ゲラ」ともいう。編集がほぼ済み、完成に近い形で校正用に試し刷りされるものだ。新聞社の校閲記者…

家族の肖像 浜田康敬歌集

2002年7月、雁書館から刊行された浜田康敬の第4歌集。装幀は小紋潤一。 私は、一昨年九月に生まれ故郷の釧路に約五十五年振りに「帰る」ことが出来た。釧路に帰るときには、そこが自分の生まれ故郷であるという意識を持って、必ず大事に「帰ろう」と思ってい…

青いコスモス 田中雅子歌集

2014年2月、青磁社から刊行された田中雅子(1961~2011)の遺稿歌集。塔21世紀叢書第235篇。 目次 Ⅰ 一九九七年―一九九九年三月 終の絵 紫煙 回送バス 靴の泥 影踏み 古き地図 心理テスト 蛍 火の記憶 うすずみの街 石 インク薄き文字 遠い岬 Ⅱ 一九九九年四…

歌集たまゆらのいのち 時井佳代子編

1981年7月、短歌新聞社から刊行されたアンソロジー。水子地蔵尊を題材として詠まれた短歌作品集。編集は時井佳代子。 「短歌現代」に掲載された私の一首の歌が、時井佳代子さんという一人の作歌者に感銘を与えたということ自体、奇縁といわなければならない…

千田幸夫歌集 千田幸夫

1986年12月、短歌新聞社から刊行された千田幸夫の遺稿歌集。 まだあたたかい夫の遺骨を抱いて茫然と唐湊の火葬場に佇ちつくした日から、私の上に流れ去った十年の歳月の重さを、今あらためて噛みしめる思いでいる。 共に過ごした二十余年の思い出は何故か四…

イーハトーブ喪失 蛯名泰洋歌集

1993年10月、沖積舎から刊行された蛯名泰洋の第1歌集。装画は渡部満、装幀は戸田ヒロコ。 〈いつか訪う星の伝言板にもあらん『下ノ畑ニ居リマス賢治』>蝦名泰洋はこの作のとおり、すでに廃墟と化したイーハトーブの無人駅からの一人だけの乗客として、銀河鉄…

琥珀截りたる 竹村紀年子歌集

1989年11月、短歌研究社から刊行された竹村紀年子の第1歌集。中部短歌叢書第128篇 『琥珀截りたる』という美しい題名をもつこの歌集は、春、夏、秋、冬の四つの章にわけられている。季節の部立の型がいちばん理にかなったこととして、作者竹村紀年子に選ばれ…

ちぎれ雲 湯本喜作歌集

1944年10月、木村書店から刊行された湯本喜作の第2歌集。装幀は富田通雄。 目次 序歌 尾上柴舟跋 本間桐人、安藤彦三郎 1 十二月八日を紀す 壯行の歌 偶感 西山莊 信州の山 吉植庄亮先生 一茶の遺跡を訪ふ 盲腸炎前後 八重ざくら 2 轉任 競馬 登山 鶺鴒 債…

草笛 佐竹游歌集

2013年11月、現代短歌社から刊行された佐竹游の第1歌集。 目次 一 青天 草笛 倫敦塔 天金 風の吹く日 円錐花序 ゆたけき闇 天より垂るる花 友 冬の雲 二 小石川植物園 あをき五月 ひかりの重さ 天の乳 還りゆくべき空 青の深み 蔵王 フウセンカズラ まひるま…

旅鴉 炭光任歌集

1927年2月、紅玉堂書店から刊行された炭光任の第1歌集。芸術と自由叢書3。画像は裸本。 目次 序 伊東音次郎跋 清水信 雪靴 欠伸を噛む 壊れた玩具 NDLで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索

武尊の麓 江口きち

1939年4月、婦女界社から刊行された江口きちの歌集。 『武尊の麓(ほたかのふもと)』一巻は如何に多くの人々に讀まれるか豫期されないが、少なくとも三千人の眼に觸れることは間違ひない。その中には眞に本書に讀みついて、手放すことが出來ないと云ふほど…

脳裡の絵画 近藤節子歌集

1999年8月、角川書店から刊行された近藤節子の歌集。古今歌集叢書105。 気がついたら庭の杏が、今年も白い花を沢山つけていた。ここに植えられた頃は、やはり多くの花が咲き、たわわに実をつけた。がその後の事は余り記憶がない。実の成る頃は小鳥が何処から…

宿命の愛 鈴鹿俊子

1949年10月、実業之日本社から刊行された鈴鹿俊子の歌文集。装幀は岡村夫二。「老いらくの恋」。 目次 ・暗燈記 日記の中より(一) 飛鳥路 運命の日 日記の中より(二) こころの歩み おもひで 新生活の斷面 ・素香集 悲戀 破鏡 新たに生きて 過去の日に おくが…

國鐵歌集1957 司代隆三編

1957年1月、国鉄歌集刊行会から刊行された国鉄労働者の歌集。編集は司代隆三。装幀は小田切恭通。 国鉄のなかで短歌の制作にしたがう人たち、いわゆる国鉄歌人の数はけっしてすくなくありません。その人たちのなかには歌誌の主宰者がおり、選者、編集者がお…

風の方位 中西洋子歌集

1982年12月、雁書館から刊行された中西洋子の歌集。装幀は小紋潤。中西は柳原白蓮の研究家。 短歌と出合ったのは大学時代、ほとんど偶然であった。その関わり方は、どちらかといえば淡白であり、「人」短歌会発足に参加するまでにも六、七年の空白期間を置い…

森は海の恋人 熊谷龍子歌集

1996年10月、北斗出版から刊行された熊谷龍子の第3歌集。装幀は村上善男。 目次 柞の森 錠剤 朱夏 杳い時間 水界 草の庵 杳い視線 羊歯植物 呪詛 現在形 植物界 金雀枝 秋から冬へ 県境 他人の時間 風中のわれは すでに秋 水源地 春のピエロ 森のいのち 冬芽…