1967年12月、思潮社から発行された諏訪優(1929.4.29~1992.12.26)の第二詩集。
数年ぶりに、詩をまとめてみる気になった。ふりかえってみると、わたし自身にもわたしの周辺にもいろいろな変化があり、わたしの三十代もおわりが近付いている。
詩集『精霊の森』をまとめるについて、現在のわたしからみて意に満たぬ詩篇はすべて捨てて、ユリイカ版『YORUを待つ』以後の詩十九篇をここに集めた。
前の詩集と今回の『精霊と森』のあいだに、難産のすえ三冊のみこの世に残して不発におわった詩集『冬の旅』があり、それは吉増剛造の解説的な手紙をそえた小さな散文詩集なのであるが、他日の刊行を帰したいのでそこでの詩ははぶいてある。
詩集『精霊の森』については、ひとことだけ記しておきたい。
巻頭の長詩は、ある恋愛を、プラトニックにとらえることによって、みずから相手の女性をなぐさめようとした詩であり、多分にパロディックなものである。
突然わたしは、肉体の衰えといわゆる青春の去ったことを感じた。
後半に集めた「解体」ほか数篇の散文体の詩は肉体の衰えとは逆に、かつてなかった精神の昂揚を感じながら書いたようにわたしは思っている。(「覚書」より)
目次
Ⅰ
- 精霊の森
- 恐怖の形
- 朝・目覚め
- 頭蓋骨の中の空
- ヤコブの椅子
- 太陽は僕たちを焼き殺そうとするか
- 閉じ込められた鰐
- 死者の道で
- 夜の証
- 夏やすみの少年
- 挽歌
Ⅱ
- 解体
- 弾力の海
- 飛翔
- 蜘蛛
- 黒い蜻蛉
- 夢の中の死・水の時計
- 痛みと眠り
- 埋葬