鯨のアタマが立っていた 青木はるみ詩集

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1981年11月、思潮社から発行された青木はるみ(1933~)の第2詩集。第32回H氏賞受賞。小野十三郎に師事していた。

 

 真夏の午後二時頃のメインストリートは、ふっと人影のとだえる暑さでした。一台のタクシーが降って湧いたように私の前方に停まり、ドアが開いたかと思うと少女が転げおちる格好のままうずくまりました。戻したのです。私は見てしまったのです。けれども私が見たことを自覚したのは、その少女の蒼白な顔、そしてみずからの不様な姿を恥じるあまりに私を非難するらんらんたる眼に射すくめられたからです。とたんに私の眼に痛覚がおこり私は少女の姿態にそのまま入れ替わってしまったのを感じました。(「あとがき」より)

 
目次

  • 初蝶
  • 閂をはずす
  • ふうわりとした楕円
  • 弟に
  • カラスと――
  • ボケ
  • 春泥
  • 密雷
  • よこゆれ
  • 事故
  • ベッドに上ってから
  • 水切り
  • 居酒屋
  • 三人の老婆
  • あぶない樹
  • どうせ、頭はつぶれる
  • 舞踏
  • 鯨のアタマが立っていた
  • みの虫が蓑からでようとして
  • ムカデが急いで
  • パペシアという病名
  • 秋の犬
  • 液体を感じる
  • 黒いタオル
  • そして、秋の犬
  • 法善寺横丁
  • とぐろ
  • 大卓
  • 駅舎の月

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