1996年6月、思潮社から刊行された辻征夫(1939~2000)の第13詩集。第4回萩原朔太郎賞、第14回現代詩花椿賞受賞。
俳諧辻詩集。いったいこれは何だろうか。俳句はもとよりしろうと、研鑽を積んだ俳人の眼には、困ったもの、と映るであろう。また詩人諸氏からは、何でいまさら俳句なのかと顰蹙もかうであろう。それらのおそらく正しい声に対しては、伝えたい思いは山ほどあるが、またまたここで作者が詩の邪魔をしてはいけない。作者は小屋の外に出て、月でも眺めていよう。(「覚書」より)
目次
春
- 吾妻橋
- 漣
- 海峡
- 橋
- 葱
- 車窓
- 木の芽どき
- 駝鳥
- 遠い火事
夏
- 五月雨
- 梅雨
- 夏の川
- 花火
- 蛍
- 夏館
- 公園
秋
- 鬼やんま
- ビート詩抄を読んで、こんな書き方でいいのかしらと思いながら安西均さんの思い出
- 断崖
- 林檎
- 慶州
- 厨房
冬
- 木枯
- 落葉
- 枯野
- 饅頭
- 下駄
- 床屋
- 耳朶
あとがきのページで
- 遊びごころと本気
- 蛙の姿勢