1954年9月、書肆ユリイカから刊行された瀬木愼一(1928~2011)の第2詩集。
戦争がおわると間もなく、病気になつた。完全な治療をまたずに、再び、ベッドからほおり出された。このような生長史の過程を、わたしは詩に書いてきた。そして今、詩集を編集するためによみ直してみて、そこに、三つの主題――戦争、病気、社会を発見した。その発見に従つて、全体を三つの章に構成した。全体を流れるライト・モティーフは、一口にいつて、わたしという人間の生活内容である。それが同時に、詩の物質的基礎を形作つているにもかかわらず、その上に充分に立つて、わたしが作品をかいていないことを感じた。批評とポエジイの厳正な一致――それがわたしの今後の課題となるだろう。
この詩集が出さるためには画家末松正樹さん、池田龍雄さんをはじめ多くの友人と、出版者伊達得夫さんの絶大な助力があつた。(「あとがき」より)
目次
第1部 子供の情景
- 子供の情景
- 軍靴
第2部 現実の方へ
- 現実の方へ
- 夜から夜へ
- 夜 三篇
- 発病
- 夢の木
- 夢のあとに
- マクシム
- 企図
- 夜は明るい
- 気胸
- スケツチ
- 丘について
- ぼくは吐いた 血を
- ダニの歌
第3部 怒りの季節
- 東京の憂鬱
- 砂
- ドラマ
- 倉庫番と詩人
- 寸劇
- 日本の街
- 逆転風景
- 今日の灯
- 基地
- 肉薄
- 怒りの季節