1992年1月、思潮社から刊行された森原智子(1934~2003)の第5詩集。
ここ五年間 身近かな人の〈死〉に茫然としてすごした。捕虫網の下の虫のように!
詩を書くということは、すぐ隣に 詩など書かないで生きている人の重い視線を絶えず感じることで初めて成立するものだ。このアタリマエを、人の死によって痛感するなんて……。今でも沢山の死があったのに、と思う。
それにしても 再生とはどんなことを言うのだろう。それは見えにくい言葉の内側でなされるのか、或いは外側でか?(「あとがき」より)
目次
- 咲く・裂きめ
- 鉛の桃
- いそいでも
- 柳の箸
- イヴの彼方
- 尾のような
- 淵
- かっこう
- 父
- 読む
- 迷い猫
あとがき