1986年10月、詩学社から刊行された篠原中子の第2詩集。装幀は十河雅典。解説は藤原定(1905~1990)。
詩を書く人の誰でもがそうであるように私もまた純粋に自分だけのために私の心を見つめたり苦しみを探したりしています。それは誰からも疎外されずまた誰一人踏み込むことのできない私の自由でありひっそりとしている秘密な楽しみでもあります。
あわただしい日々の生活に追われ何も考えないで暮していたり、時には私自身が思ってもいない方向に流されていたりすることもあります。そういう自分に気付くのもこうした秘密の時間です。私が生きてゆく中で私の心が書きたがっていることをぽつりぽつりと書きためていった。それがこの詩集になりました。
(「あとがき」より)
目次
- 印旛沼
- 道路工事
- おしろい花
- 午前八時
- 雑踏
- 夢の中の花
- 養護老人ホームの午後
- 地図にない湖
- 母
- 老紳士の昼食
- 日々
- むし暑い日
- 権力者
- 白い手袋と紅いバラ
- 末路
- 遺書
- 田中さんの息子
- 神よ
- 風
- 戦争を知らない教師のあなたへ
- 小鳥
- 宴の後
- 西本願寺大谷本廟
- 護摩
- 新年
- デート
- 動物園
- 白いハンカチーフ
- 武ちゃん
- 母の胸
- 郷愁
覚めた詩ということ 藤原定
あとがき