1976年2月、古川書房から刊行された三ヶ島葭子(1886~1927)の研究書。著者は、桝本良(1907~)、川合千鶴子(1920~)、福原滉子(1917~)、成瀬晶子(1922~)。
三ヶ島辰子の業蹟が、福原さんなどの共同研究によって世の中に残ることになったのは嬉しいことだ。
みなさんの努力も決して無駄にならないだけの業蹟が蔑子にあると信ずる。
丁度五十年忌に当る日に、この一冊が墓前に捧げられることになった事は、辰子がどんなに喜んでいるかと思っても嬉しい。
私が見てきた葭子の一生は決して幸せだったとは思えない。しかしこれを代償として、蔑子の業蹟は残ったのである。
いたましいが、そうである。
葭子は背水の陣を敷いて、おそいかかる悲しみにも苦しみにも耐え、またまれに訪れる束の間の喜びにも対していたのである。
(「三ヶ島葭子の研究」に寄せて/中川一政 より)
目次
「三ヶ島葭子の研究」に寄せて 中川一政
知ることのよろこび 久保田正文
- 生い立ち
- 投稿時代
- 文学への目覚め
- 女子文壇―処女
- スバル―我等
- 青鞜―平塚雷鳥
- 与謝野晶子
- 結婚
- 杉本寛一と倉片寛一
- 小宮村を去る
- 結婚
- 小説「途上」
- みなみ誕生
- みなみを手離す
- 交友
- 原阿佐緒(一)
- 「アララギ」時代
- アララギ入会
- 代表作「なやみ」
- 他誌寄稿
- 詩歌
- 嬰児
- 玄士
- 早稲田文学
- 倉片 大阪に赴任
- 歌集「吾木香」
- 原阿佐緒(二)
- 古泉千樫
- 日光
- 倉片の愛人・父の死
- 関東大震災
- 谷町の家
- 病い
- 青垣
- 死の訪れ
- 死後のこと
あとがき