2006年7月、思潮社から刊行された池井昌樹(1953~)の第14詩集。扉カットは小池昌代(1959~)。第22回詩歌文学館賞。
詩は詩にしか解き明かせない尽きせぬ謎。そして飽くまでも己のためにのみ書かれるもの。いさましい野心や戦略からはおよそかけはなれた、むしろ忌むべき秘め事なのだが、その秘め事によってのみ私もまた辛うじてヒトとして歩んで来られたという思いが強くある。己の中の誰でもない誰かとの出会い、その無上の喜びを僞り無く洗い凌い詩は打ち明ける。いかなる武器にもなり得ないが、生きてゆく上で無くてはならないその秘め事を、その火と水を、私は信じ、私は畏れる。(「後記」より)
目次
- 弓
- 素足
- だれもしらない
- 人間の出来てない屏
- 百葉箱
- 天爪粉
- 幸せ
- 渡り廊下
- おうち
- 夢の話
- 風鈴
- おまつり
- 桔梗刈萱女郎花
- ぼく
- 厩
- おつきさま
- あまのかわ
- ならわし
- りんさんの月
- Requiem
- 命日
- 龍宮
- 竹似草
- 羅須地人の夜
- 神扉
- 僧形
- 遊子
- 古い時計
- 五月
- 銭葵
- ほんとうは
- バス
- 豆腐
- 小春日
- 声
- 雲
- ひとり
- 夕顔
- だれ
- くらし
- 草毮るもの
- 月の川
- 未刊
- 織女
- 黄水晶
- 朝露
- 真珠
後記