1981年5月、花神社から刊行された岸本マチ子(1934~)の第3詩集。装幀は十河雅典。
沖縄に二十年も住んでいるというのに、いまだに沖縄の内側に立てたという思いをしたことが、一度もない。いつも肝心なところで手ひどい拒絶に出会いとほうに暮れている。
かつて、梃子の原理を発見したアルキメデスは、「われに地球外の一点を与えよ。」と言ったというが、心ならずもはみ出してしまっている私にとって、アルキメデスの一点とはなんとつらい場所であることか。もはや、この地以外に身を寄せる所も、骨を埋める所もないというのに、以前として異邦人的状況の渦中にあるくやしさ。わたしがわたしでしかないという、或いは生涯免疫になぞなることはあるまい孤立無援を、ならば命の続くかぎり熾烈に生き抜いてみようと、心を奮い起こす。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- コザ一番街
- 雪女異聞
- 雨
- 風を見た
- 夕暮れ
- 青葉のころ
- 一人しばい
- パブで
- 白夜の記
あとがき
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