豆手帖から 季村敏夫詩集

f:id:bookface:20180216164531j:plain

 2012年6月、書肆山田から刊行された季村敏夫(1948~)の第6詩集。装幀は間村俊一

 ここというとき、逃げていた。距離をおき、見て見ぬふりをし、その 記憶を沈めた。こずるいタイプだった。
 ある日、距離が狂った。今ここ、あらわになった過去に、ひきずりこ まれた。他者の出来事があって、やっときっかけをつかむとは、この遅 れはおぞましい。
 毎日、書いた。ポケットにつっこまれた稽古帖、おもいついては書き、 考え、傍線をひき、立ちすくんだ。
 タイトルは柳田國男の旅行記からとった。子どもの瞳は「天然の一慰 安」だと大正の旅人は書きとめたが、酷薄な一撃を背負わねばならない平成のやよい童子は、ただ歩まねばならず、癒しなど読みとりようもな い。背後から見守る、母なるひとの息が迫る。
 今回もいくつかの出会いがあったが、『海炭市叙景』をおもいださせ てくれた岡崎武志さんありがとう、また下鴨、夏の古本市で。
(「あとがき」より)

目次

  • 晴天 
  • 海の宿り 
  • 枯葉を拾う 
  • やよい童子 
  • 旅寝のさかい 
  • 野辺のおくり
  • 荒浜 
  • こごみ 
  • つきかげ 
  • あかるむ庭 
  • しじま
  • つきのき 
  • 青い空の下の海 
  • あかり 
  • うたかた 
  • ゆりもあはむと 
  • 陸の饅頭
  • ほどかれしもの
  • ある一日 
  • 聖母子 
  • このよのあけむ 
  • 車輪

あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索