1979年4月、七月堂から刊行された山本哲也(1936~2008)の詩集。装幀は井上俊男。
詩が日常を超える何かであるということは、日常を深く鋭く認識することなしに詩は書けないということでもある。その認識を山本哲也は「夢のちから」と呼ぶ。ちからは作者の場合、充分に強力で弾力性に富む。 ひとりよがりに陥り易いわが国の現代詩の中で、山本哲也が駆使するイメージは説得力を持ち、ダイナミックでさえある。刺戦的でもある。再読三読に耐える。 ちかごろ、この詩集のように読んで興奮させられたものは、他になかった。
目次
- 冬の光
- 鳥がきた日
- 塀
- 禿頭ぐらし
- 家具について
- 一枚の絵
- 川
- 聖五月
- 夏から夏へ
- 火の音
- 草の名前
- 冬の問題
- うた
- 夢殺し
- 親和力
- 失楽園
- 私生活――一九七三年五月七日
- 渚
- マラルメを思いめぐらす36行
- 六月埋葬
- 暗国
- 吃音革命
- 影の国から
おぼえがき