2000年11月、五柳書院から刊行された井坂洋子による永瀬清子の評伝。装幀は東幸央。カバー作品はイケムラレイコ「両手を口に入れながら」。
永瀬清子の詩やことばは、生きることを引き換えとするような熱のこもりと、格闘がある。それに向き合うほどの力が自分にはない、資質もちがうと、なにも言えない状態が長く続いた気がする。
だが、彼女は、もともと霊感のつよい詩人であり、創られた数々の作品も、発端はそこなのだと思ったときから、身近な存在となった。
また、本文に書き入れそこねてしまったが、永瀬家には代々つたわるお炎の治療というのがあって、村人たちは随分と清子に救われたらしい。
そのことは、直接に彼女の作品とはつながらないのだが、人体の闇、創作の闇に火を灯す巫女のようなイメージが浮かんできて、私の遅筆をあと押ししてくれた。どこか一点、今は亡き彼女とつながっている思いがしていた。
(「あとがきにかえて」より)
目次
- 第一章 「コーヒーの進軍ラッパ」が鳴る時
- 第二章 流れるごとく書けよ
- 第三章 「あなた」の向こう側へ
- 第四章 認識の刺
- 第五章 女詩人のさえずり
永瀬清子略年譜
あとがきにかえて
関連リンク
永瀬清子「その時あなたが…」(YOMIURI ONLINE)
永瀬清子の誕生日、そして命日であるこの日(たりたの日記)