花後の想い 渋沢孝輔

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 1993年3月、小沢書店から刊行された渋沢孝輔のエッセイ集。裝画は柄澤齊

 

久しぶりにエッセー集を編んでみてあらためて気付いたことは、近年の自分の書き物に故郷や植物に触れたものが多くなっていることである。いくらかは年のせいかもしれないものの、本人は、長らく忘れていた、根の研究をしているつもりであり、いずれにせよ内に動くものに釣られての勢いの赴くところ、やむをえない。それにしては、かっての文人たちのようにそこに堂々と根を張って、さびをきかせることもできかねているあたりが、困ったところである。
この集には相変わらず種々雑多な主題の文章が入っていて、中にはかなり昔のものもある。一方で、ランボーとの比較における宮沢賢治、ヴィクトール・セガレン、カトリーヌ・ポッジなどについては、本書に収めた文章のあとで多少は詳しく書いたものが別にあり、ほんとうは併せて読んでいただきたいところだったが、分量の加減で割愛せざるをえなかった。次の機会を待つことにしたい。

(「あとがき」より)

 
目次

  • 残英――私の原風景
  • 故郷喪失者の故郷
  • 浅間山の絵
  • 根の研究
  • 国分寺二十年
  • 侘助の持ち味
  • 崖の上の想い
  • 水上と丸石神
  • 石に精あり
  • 彼岸の墓参り

  • 樹の昇華
  • 花のはなし
  • 裸の冬
  • 梅開く
  • 花後の想い
  • 今年の秋
  • 尾形光琳「燕子花図屏風」
  • 植物がみえるとき
  • 緑の繁りを前に

あとがき


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