2002年6月、梧葉出版から刊行されたイラストレーター・和田誠(1936~)の句集。
英語に「ホワイト・ライ」といふ言葉がある。直訳は「白い嘘」だが、「他愛もない嘘」の意味を持つさうだ。日本語の「真っ赤な嘘」が「けしからん」と感じさせるのに対して、白い嘘の方は「まあいいか」といふ気分。
ぼくの俳句は「嘘ばっかり」なので、「句は写生が第一」とする方々の眉をひそめさせるだらうと思ひ、「でもほら、白い嘘ですから」と、題名で言い訳をしてあるのである。
句作はまったくの自己流。素人芸をこんな形で披露するのは、本格派の詩集や歌集を作ってみる悟葉出版の看板に瑕をつけることになりかねないのだが、本間眞人さんの「大丈夫」といふひとことに甘えてしまった。
少しだけ開き直って言えば、「ことば」が好きなのである。さまざまなイメージを喚起させる言葉の力が。これは嘘ではありません。
(「後記」より)
目次
- 日記帖
- 花時計
- 動物記
- 子供達
- 旅行鞄
- 来屋口
- 食味録
- 遠眼鏡
後記