飯島正歌集

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 1991年9月、私家版として刊行された飯島正(1902~1996)の歌集。編集装幀は田中美子。

 

 ここ約一〇年のあいだに、ぼくは二つのおおきな異変に出会った。一つは妻志寿子に先立たれたことである。志寿子は一九八二年になくなった。ぼくはひとり暮らしをはじめた。もう一つは、妻の死後まもなく、足と手のぐあいが悪くなった。それで、それまでの仕事だった映画についての文章を書くことができなくなった。映画見物をやめたからである。これは生きて行く上での大変化だった。歌をつくりはじめたのはそれからである。それには動機があった。
 妻は一九二九年ぼくと結婚するとまもなく、歌をつくりはじめた。これには妻の父とぼくの義弟が歌人であったせいもあるが、ぼく自身が中学生のころ歌をつくっていて、やがてそれを中絶した経験があり、それで作歌を妻にすすめた事情もあった。妻は死の半年前まで歌をつくることをやめなかった。ぼくは妻の死と同時に、妻のあとをつぐ意味でも、歌をつくろうとおもった。
 まさに「八十の手習い」である。しかし師につく気にはなれなかった。ひとりで勝手に歌を」つくり、今日にいたった。自己流の歌である。この歌集は、まずなによりも亡妻への鎮魂歌であるが、またぼくの近況報告の意味も兼ねている。お読みいただければ、幸甚この上もない。
(「まえがき」より)


目次

  • 一九八二年(昭57)
  • 一九八三年(昭5B)
  • 一九八四年(昭59)
  • 一九八五年(昭60)
  • 一九八六年(昭61)
  • 一九八七年(昭62) 
  • 一九八八年(昭63) 
  • 一九八九年(昭64・平1) 
  • 一九九〇年(平2) 
  • 一九九一年(平3)


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