東京湾の風 埴原一亟

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 1981年4月、栄光出版社から刊行された埴原一亟(1907~1979)の長篇小説。

 

 亡夫植原一誠の戦後の作品集は、「植原一家創作集」(文芸復興叢書・昭和四三年)、「人間地図」(創思社版・昭和四四年)、「一国一畳ぼろ家の主」(栄光出版社版・昭和五二年)を数えますが、そのほとんどが短篇集で、晩年に執筆した長篇小説「東京湾の風」は未刊のままとなっております。そこで、このたび一周忌を迎えたのを機に、これを一冊にまとめて故人への供養の一端とすることといたしました。
 この長篇は「経済往来」の昭和五〇年四月から五一年五月まで一四回にわたって連載したもので、地元大森の海苔業者が重油流出事件、大井埠頭突堤問題、東京湾埋立問題などを経て、漁業権を放棄するまでの戦後史をたていとに、わたしども保育園のあゆみをよこいととしたものです。なお、巻末に添えた短篇「淵を覗く」(文芸復興第六四集・昭和五三年一一月発表)は、最初の胃手術ののちに執筆した最後の短篇で、発表当時好評でしたので、遺稿がわりにとくに採録いたしました。
(「あとがき/埴原千枝子」より)


目次

  • 一、赤い保育園 再会 青空保育園
  • ニ、入園式 騙された金 海苔の街の反応
  • 三、署名運動 社長追い出し 民主主義
  • 四、父母の会 ビラ配り
  • 五、防潜網 平木音次郎の請願 海苔屋の底力
  • 六、公認の重み 措置児と保育園 メーデー事件
  • 七、出頭命令書 署名運動と保育園
  • 八、重油流出事件 補償交渉 補償要求額
  • 九、補償問題 海苔船神社 土地買い取り
  • 一〇、金集め 保母の失踪 園債運動
  • 一一、秋祭り 銀平が殺った 海が腐った
  • 一二、海苔屋は死ね 拡大する東京湾の埋立 絶対反対か条件闘争か
  • 一三、変貌する蒲田の街 保育人口の急増 補償金めあて
  • 一四、大森漁業組合の終幕 野田三造の訪問 東京湾はどこへいった

淵を覗く

あとがき


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