2002年4月、思潮社から刊行された藤井貞和の詩集。装幀は伊原靖章。第33回高見順賞受賞作品。
1997年ごろより、考えてきたこと、詩の力はどこで保たれるか、その本性は「ことば」、あるいは「声」、または「うた」のひびきにどう向きあうか、詩そのものが仮にうたであってもよく、共有できる「ことば」のひびきを尋ねて、20篇に手を入れてみた。糸を伝わってやってくる音は、空間的なそれらもあれば、過去からの声もあり、また三絃(三味線)の「糸」でもある。命名(一歌人の名や、略語、新語……)が本書のところどころに見られる、それらはすべて「ことば」の出現というつもりで、注も要らないほどのものである。わずかにつけてみた注に過ぎない。
2002年1月 著者
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