1988年4月、筑摩書房から刊行された谷田昌平(1923~2007)のエッセイ。装幀は吉岡実。付録栞は遠藤周作、吉行淳之介、中村真一郎。谷田は詩人・牟礼慶子の夫。
目次
- 編集者になるまで――堀辰雄との縁
- 昭和二十八年の夏――小説家の生活に初めて接して
- 福永武彦――人生が芸術であるかのように生きる
- 武者小路実篤、野間宏――入社の年に会った人
- 柴田錬三郎――『週刊新潮』創刊のころ
- 石川淳――昂然たる姿勢を崩さなかった文士
- 幸田文――料理・洗いもの好きの人柄がにじむ文学
- ”第三の新人”たちを知る――「構想の会」のころ
- 丸岡明と原民喜――対照的だった二人の作家
- 伊藤整――奮闘し続けた、温厚な紳士
- 室生犀星――「女ひと」への讃美と愛惜の思い
- 武田泰淳――「森と湖のまつり」のころ
- 中野重治――厳しさを持ち、妥協せぬ文学者
- 大江健三郎―― 開高健と並び文壇に新風をもたらす
- 新田次郎――山岳小説を文学として確立
- 昭和三十年代前半の文学――「歴史の曲り角」に新鋭や才女が輩出
- 『近代文学』の人びと――私的にも親しくした先輩たち
- 司馬遼太郎――歴史に夢を馳せる
- 「純文学書下し特別作品」――純文学の過渡期に発刊
- 安部公房――『砂の女』で始まった親密な付合い
- 有吉佐和子――社会問題を先取りして小説を書く
- 遠藤周作――カトリック文学者の敬虔さと奇矯ぶりと
- 昭和五十年代の文芸雑誌――短篇小説の衰弱で文芸雑誌に翳り
- 島村利正――起伏の多い人生の襞がにじみ出る
- 堀田善衛――飄々として、やさしさを秘めた人
- 丹羽文雄――天衣無縫の生き方から生まれた文学
- 中村真一郎――その博識とロマンへの情熱
- 吉行淳之介――『夕暮まで』が完成するまでの十三年
- 佐多稲子――一途に生き抜いた人のやさしさ
- 菊村到――巧みなストーリー・テラーの誕生
- 小島信夫――未刊に終った「いつかまた笑顔を」
- 円地文子――素養と小説家の技術を『源氏物語』に結晶
- 津村節子――同人雑誌での苦節十年に堪えて……
- 吉村昭――誠実で緻密な人柄から生まれた迫真の記録文学
- 結城信一――独特の芯の強さで自己の美意識を貫く
- 山本健吉――「無私」「自己没却」の批評の姿勢を貫く
- 晩年の室生犀星
- 一、ひさびさの作品集『黒髪の書』出版
- 二、「女ひと」讃歌
- 三、理想の女性像
- 四、作品に影をおとす女性
あとがき