2007年10月、思潮社から刊行された柴田恭子の第4詩集。刊行時、柴田は高岡法科大学教授。
八年前、実家を壊して土地を他人に売ることになった。噂を聞きつけて中国人の友人が駆けつけ、荷物が運び出されてガランとした仄暗い十五畳の和室をのぞき込んだ。「ブフケイ」と大きな声を出した。とり残されていた扁額を読んだのだ。もう一度読んでほしいと頼んだ。長い間かかっていた心の霧が晴れた。「ハハラウヤマワズ」ではなかったのだと。
作品「母不敬」は次々と書ける。ハハが亡くなれば永久に書き続けるだろうという畏れで、97歳を迎えたハハが在(い)る今、この作品群にピリオドを打とうと出版を決意した。
(「母不敬(ぶふけい)――ウヤマワザルコトナカレ/柴田恭子」より)
目次
Ⅰ
- 母不敬1
- 母不敬2
- 母不敬3
- 母不敬4
- 母不敬5
- 母不敬6
- 母不敬7
- 母不敬8
- 母不敬9
- 母不敬10
- 母不敬11
- 母不敬12
- 母不敬13
- 母不敬14
- 母不敬15
- 母不敬16
- 母不敬17
- 母不敬18
Ⅱ
Ⅲ
- 砂は木に描いたゆめ
- 心萎えびと
- 某月某日
- 修学旅行
- a she-wolf
- 手帳
- 平伏沼
- 月
- へんぐりの堰1
- へんぐりの堰2
- 草地1
- 草地2
あとがき