1965年10月、文童社から刊行された山村信男の第1詩集。画像は裸本。
これらは「詩学」「現代詩」「ノッポとチビ」「復刻」等に発表した、およそ四年間にわたる作品から集めたものです。
ぼくにとって詩とは、さも淫蕩な手つきで自身の実と虚の地獄のさかいをなでまわした所産だと思っているので、もしもそれが、無意味に手をはわしているのではないと評価されれば思わぬもうけものであります。
婚姻を書いた直後に母の死に目にあい、ぼくの肩はにわかにけわしくなったようです。その肩ごしに、ぼくの青春の光芒がかっきり断絶して眺められるのです。この処女詩集は、そのささやかな記念碑の役割をはたしてくれることで実は充分なのだと思っています。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 重い母
- 背中・ぼくらの理由
- 脱ぐ
- 父ののど・母の闇
- 母・くるまれた闇に
- ひざ・ぼくらの焦土
- 航海
- 父の遺産
Ⅱ
- GIRAFFE
- 坐る
- 事故
- 歯の風景
- 勇敢な恋人たち
- 明方の草原に……
- 森のなかで
- 闘牛
Ⅲ
- 河口
- 風景
- 物語
- 管・ぼくらの愛
- 夜・ひとつの証
- 枕
- 婚姻
解題 大野 新
あとがき