種まく人の譬えのある風景 倉田比羽子詩集

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 2008年10月、書肆山田から刊行された倉田比羽子(1946~)の詩集。装幀は亜令。

 

 本書は、「るしおる」40号(2000年5月)から64号(2007年5月)に、ほぼ連続して書き継いできた諸篇を改稿し構成したものです。ほかに「現代詩手帖」(2007年9月号)、「関西文学」53号(2006年2月)に書いた詩篇を加えています。
『種まく人の譬えのある風景』はブリューゲルの絵の題名から採っています。まとめるにあたり、ぜんたいの構成を夢見ながら読み進めるうちに、『種まく人の譬えのある風景』にたどりつきました。本書で<種まく人>は、人間のありようを万物の根源である元素的な空間、自然という大地に制約された存在として、生死を受け容れることをめぐって語られていきます。光景の一つひとつは、わたしたち一人ひとりの、闊達に、単純に生きる時間の変幻自在な<譬え>として、姿をあらわしています。
 ブリューゲルの『種まく人の譬えのある風景』の主題は「ルカ伝」(8章4~15)に典拠する「種まきの譬え」とされ、それは豊かな実りを予告する神の国の譬えであると言われています。<警え>とはふしぎなことばです。そんなふうに人間の魂を<譬え>として想起することができれば、詩を書くことは、生きるという不分明な主題、<譬え>の試みと言えるかも知れません。
(「覚書」より)

 


目次

人間のなかの…)

Ⅰ 種まく人の譬えのある風景

  • (外は、晴れた日の…)
  • (かつて「世界」をひもとくための一巻は…)
  • (波打つ森の暴鬣―…)
  • (戸口に出てきて、…)
  • (薄暗い階段の途中に座り込んで…)
  • (どんな人間も家に帰る古い道の果てに…)
  • (重い木々の樹液で書かれた綴り字を…)
  • (水の門に無効となった告示が…)
  • (坑道を抜けて錆びついた鉄橋の見える…)
  • (永永とつづく空の道形、…)
  • (水際の小径に沿って…)
  • (山門の下に立つと、…)
  • (「ひとはじぶんのこころが善だから殺さないのではないという…)

Ⅱ オーバー・エンガディーン小屋の最後の一幕

  • (一日の終わりが近づくと…)
  • (日の欠けた町外れの一本道から…)
  • (高木の根の下は土にあらず、…)
  • (みんな《家に居て》おし黙る、…)
  • (《光の石棺》を探し求めて…)
  • (未曾有の詩の本は…)
  • (人は終わりにのぞんではじまりを…)

覚書


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