1981年1月、小沢書店から刊行された葛原妙子の随筆集。
散文を書こうとして、詩歌のごときものの介入に苦しむときと、むしろそれをやすやすとゆるしてしまうときとあった。いわば私は生得の歌作り以外の何者でもありえないので、そのような矛盾が起り、ときには自分として書くべきではない散文、と嘆いたりもした。
しかしながら求められるときはやはり書いた。ありありと生地を露出してさえ書いてしまうのである。
(「あとがき」より)
目次
薔薇玉
- 手巾
- 白い朝顔
- 月光
- 舞踏する百合
- 翅
- 二つのS
- 薔薇玉
- 友禅
- 日光浴
- 海の家
- 黄金週間前後
- 繭
- ねむりの位置
- 魂の自由
歌人日乗
木の間道
あとがき