1983年10月、かまくら春秋社から刊行された詩人評伝集。編者は伊東海彦(1925~1995)。装画は山むろしんじ。
ここに集められたのは、その生涯において何らかの形で鎌倉と縁の深かった詩人たちの肖像である。いわゆる詩形式の作品を書いているからということだけでなく、編者にとってその本質が詩人と思われる作家をとりあげている。むろんここにあげられた詩人だけがすべてではない。なお鎌倉とつながりのある何人かの重要な詩人たちがいるが、残念ながらそれは次の機会にゆずりたい。それぞれの詩人について知悉し、洞察力をもったすぐれた執筆者の協力を得たことは編者の私としてはこの上ない幸せだった。そのおかげでこの書物はすでに書かれているこれらの詩人たちの肖像に、さらに新鮮な肉付けを与えるととができたと信じている。
(「まえがき/伊藤海彦」より)
目次
まえがき
- 萩原朔太郎 萩原朔太郎と鎌倉 富士川英郎1
- 堀辰雄 堀辰雄のいた二階家田中清光
- 神西清 神西さんの憶い出 伊藤海彦
- 高橋元吉 海辺に立つ高橋元吉 村上光彦
- 松本たかし 十七字の楽土―松本たかし 鬼頭麟兵
- 高見順 卒直な樹木高見順 伊藤海彦
- 蒲原有明 蒲原有明と鎌倉田中清光
- 木下利玄 矢内原伊作・伊藤海彦
- 木下利玄と三久別荘 矢内原伊作
- 利玄 その雨と花と 伊藤海彦
- 津村信夫 津村信夫と鎌倉 田中清光
- 中原中也 ある中也体験 伊藤海彦
- 久保田万太郎 流寓の詠嘆 鬼頭麟兵
- 吉野秀雄 巨いなるひと・吉野秀雄 田中清光
- 高浜虚子 高浜虚子の俳句 富士川英郎
- 尾崎喜八 晩年の尾崎喜八 伊藤海彦
- 北富八德 いのちの詩人 北畠八穂 村上光彦
著者略歴