1999年6月、高村三郎を支援する会から刊行された高村三郎の作品集。装幀は、栗津謙太郎。附録栞は、川島知世「バカタレ」、金時鐘「無償の給付を生きてきた男」、高村恵美「芹を摘む」、葉山郁夫「高村三郎さんの遠い瞳へ」、土方鐵「三郎の病床俳句」、米田賢一「『茜』と三郎さん」。
医誠会病院で闘病中の高村三郎さんの病床にパソコンが搬入されて一年がたちました。高村さんは一日、二、三十分(ベッドを起こす時間が長いと疲れるので)、ほとんど毎日パソコンにむかっています。土、日曜は言語リハビリがお休みのため、恵美夫人が、文字盤もつかって意思の疎通をはかっておられます。
体調の悪いときは、画面をにらみつけるだけで一句もできませんが、調子にのれば週に四句というのが最高記録です。新しい眼鏡も購入し、病床句が百句をこえましたので、高村さんから皆様へのメッセージとして、お届けすることにいたしました。
八十四年から倒れる九十六年まで、句誌「茜」に発表された作品と、高村さんが十代のころに作りためられたものをあわせ、それにエッセイも二つ入れてこれを機に作品集としてまとめました。
この『春の泥』は、皆さまのお気持ちが結集されたもので、その制作状況も逐一高村さんに報告し、高村さんもしっかりとうなずいて聞いて下さいました。今後もいろいろな形で闘病、創作活動を支援していきたいと思っています。時候不順のおり、お元気でお過ごしください。
「高村三郎を支援する会」
目次
- 病床句
- エッセイ 囲炉裏のまわり
- 少年句
- エッセイ 星は何でも知っている
- 「茜」時代
跋文 川崎彰彦