1984年9月、花神社から刊行された崔華國(1915~1997)の第2詩集。装幀は林立人。第35回H氏賞受賞作品。
日本語での第一詩集、『驢馬の鼻唄』(詩学社)以降四年間に、「詩学」の他、同人誌「四海」「風」「西毛文学」「東国」等に寄せた作品をまとめたのがこの集である。
四半世紀を越える歳月を、高崎にて茶房<あすなろ>を営み、その間、多くの美を愛する人士の知遇を得られたのは、こよなき幸せであった。芸術を愛する心に隔はない。
私の国に「堂狗風月」という格言がある。儒生が学ぶ書堂の狗(いぬ)は、三年もすれば風月を詠むという諷刺である。私が一匹の粋な堂狗たり得たかどうか、不安が先に立つ。
韓国語の詩集『輪廻の江』を、ソウルで上梓したのが、一九七八年、馬齢を重ねて来年は古希、華やいだ弾む心で、いつまでも愛の言葉を紡いでみたい。
(「あとがき」より)
目次
- ポプラ頌
- 昆虫記
- 猫談義
- メイド・イン考
- 相似性
- 舞い
- 愁訴
- 夜半の客
- 高校野球を十倍愉しく見る方法
- バカンス
- シリコーンの指
- 同人善哉
- 帰心
- 哭金素雲
- 偶成二篇
- 李朝二題
- 襤褸還郷
- 晩秋の旅
- 亜米利加駆け歩記
- エア・メール
- からっぽの都
- 十字軍
- バラと時間
- 好好
- 歳月
あとがき