2009年9月、私家版として刊行された岡谷公二(1929~)の随筆集。
私は決して世間が広い方ではないが、思いがけず長生きしたおかげで、様々な人と知り合い、交際合うことになった。しかし彼らの多くは、もうこの世にはいない。私は今年傘寿になるので、これまで書いた友人・知人の追悼文や回想の類を集めて一冊にすることにした。
ネルヴァルは、「夢は第二の人生である」と言ったが、私にとっても、夢はいくらかそれに近いところがある。だから表題の中の「夢の」とは、遠く去ったという意味では少しもない。彼らは今もいきいきとした表情をして私に話しかけたり、杯をすすめたりする。彼らとの対話は、たしかに私のもうひとつの人生なのである。
(「あとがき」より)
目次
- 図画教師としての椿貞雄
- 『素人先生』
- 俳句と私
- 俳人堀井春一郎
- 蛇
- 回想山川方夫
- 田久保君
- かけがえのない眼――桂芳久を悼む
- 若林真と佐渡島
- 尾道暮し
- 『ゴーギャンの世界』と私
- 伊藤忠三を悼む
- 中川深雪さんのこと
- アンリ・ルソーをめぐる人たち
- 回想片々
- 爵さん
- 阪田寛夫さん
- 中原さんの死
あとがき