魂の形について 多田智満子

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 1981年10月、白水社から刊行された多田智満子(1930~2003)のエッセイ集。装幀は小野絵里。

 

 本書は同人誌『饗宴』(書肆林檎屋刊)の二号から八号まで七回にわたって連載したエッセイに多少の事を加えて、ささやかな一本にまとめたものである。
 もとより学問的な文章ではなくあくまで詩人的な考察であるから、つねに自分自身の無知から出発するよう心がけた。主題の性質上、折にふれて民俗学、神話学等の文献を援用したのは、自分の無知を補うためでなく、むしろ無知の輪郭を明らかにするためである。
 およそ人類がものを考えはじめてこのかた、魂の問題は最も重大な関心事の一つであっただけに、魂という語はじつに多様な意味内容を含み、古代ギリシアの史家や作家たちが自著の序文に用いた定型句を借りるならば、この事柄については「多くの人が多くの異なったことどもを語っている。」したがって、魂という語の意味をよく把握するために、一つの国語一つの時代の「魂」の概念系列を整理するだけでも大変な仕事になるであろう。いうまでもなく本稿はそのような論考とはかかわりのない立場で書かれた。
(「あとがき」より)

 

目次

1 たま あるいは たましひ
2 何を以て羽翼有るや
3 白鳥 黒鳥
4 漂えるプシュケー
5 オシリスの国
6 ラーの舟
7 蜜蜂あるいはネクタル
8 魂の梯子と計量
9 心臓から蓮華へ

あとがき

 

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