1976年10月、再現社から刊行された森本敏子(1930~)の第3詩集。装幀は山田玄。
第二詩集「勾配」を出してから七年すぎ、三冊目の詩集をまとめることにしました。
もっと切り拾て、もっとすっきりしたかたちに、編むべきであったかもしれません。けれども、夫と姑と娘と息子との五人家族の主婦として、主婦感覚ばかりが旺盛な日々、突然おこるエア・ポケットのような部分で生まれた、これらの作品は、いずれも私のものに違いなく、私という人間は、このように雑然としているのだから仕方がないと、開き直るしかありません。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 邪魔にならないこと
- 返礼
- 痛いというのは
- 昆布と魚の間
- 自転車の灯
- 邪魔にならないこと
- 子守り唄など欲しがらないで
- 昨日の笑顔
- けいこ
- 間に合わせ屋
- おしくらまんじゅう
- 中ぐらい
- 背中
- さくら
- ひとりの花見
- 浮遊生物
- ごちゃまぜの十二月五日
- 歩く
- 宛名のない手紙
- ふたたび手紙について
- こわくなる
- 一日の終りに
- 饒舌
Ⅱ 智子のことば
- 智子のことば1
- 智子のことば2
- 智子のことば3
- 智子のことば4―地下街にて―
- 智子のことば5
Ⅲ 並んでいたい
- 待つ
- ひらいたまま
- 出かけて行って
- 誰にいえる
- ひとりあるき
- わたしをみて
- 行って下さい
- いま突然
- まっさらなことば
- 並んでいたい
- どうして二人
- 二つ並べて
- 軽いことば
- 私と街と
- 街恋唄
- はずれたままの受話器
- 挨拶
- 器になりたい
Ⅳ ここまできて
- ここまできて
- 希薄液
- 厚着
- 履の話
- 裸身
- 捨てられた顔
- 仮面
- 日曜日の夜明け
- 転身には
- 渇水期
- 名札をかける
- しまい湯
- 砂の穴
あとがき