1991年12月、国文社から刊行された笠井剛(1931~)の第3詩集。装画は織田秀美。著者は山梨生まれ。刊行時の職業は立教大学職員、住所は東松山市。
この夏、母の一周忌と父の三十三回忌を田舎の家ですませた。今は空家となった縁側に坐って、百日紅の花を眺めたり、弟の手で編まれた母の俳句集を読んだりしていると、俄に、私自身の身辺整理を急がねばという思いに駆られた。あちこちに散らばっている詩稿を集め、いくつかは捨て、いくつかには応急手当をして、何とか一冊にまとめてみた。たまたま今年は還暦という年齢、小詩集ではあるが、これをこの年の私なりの記念物としておきたい。また、身勝手な言い草と思われようが、多くの方から詩集を頂戴しながら、礼状一本も書かなかったことへの詫び状としたい。拙詩集をお届けして、ご寛恕を願う次第である。
(「付記」より)
目次
- 懐かしい斜面
- 続きの夢
- 嗤う茸
- 等高線で
- 目玉について
- 兎男
- 敗北
- 手品
- 員数外
- 椀
- 名前
- 鐘
- 落葉のお見舞い
- 十三夜
- 道祖神
- 雲雀
- 近況報告
- 習作
- 淡彩のように
合図――跋にかえて――
付記