わたしたちが良い時をすごしていると 片桐ユズル詩集

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 2011年7月、コールサック社から刊行された片桐ユズル(1931~)の第3詩集。編集は鈴木比佐雄。カバー画はマン・レイ。付録栞は鈴木比佐雄による解説。著者は東京生まれ。

 

 この詩集は、英語流にいうと"Later Poems"すなわちわたしの後半生の詩を集めました。前半生のものはほとんど現代詩文庫『片桐ユズル詩集』(1970)に出ています。1967年頃から数年つづいた,いわゆる関西フォークソング運動の詩的側面の総括としては『ほんやら洞の詩人たち』(1979)があるが,そのあたりからこの詩集ははじまる。
 1971年にアカデミー・オブ・アメリカン・ポエツが日本の現代詩を紹介するために,谷川俊太郎,田村隆一といっしょにわたしも招かれて,アメリカ合州国を朗読横断旅行をした。ゲーリー・スナイダー,ハロルド・ライトも合流して,英訳を読んでくれた。1975年にはケネス・レクスロスが京都に1年間滞在して,親しくしていただいた。1982年にはヴァルドー・ヴィリエルモ教授の招きでハワイ大学で「月見草」その他の詩を朗読した。1984-5年に京都精華大学から休暇をもらって一般意味論研究のためにサンフランシスコとボルチモアに半年ずつ滞在し,このときアレクサンダー・テクニークと出会った。1987-8年,アンティオク・カレジ(オハイオ州イェロースプリングズ)で交換教授として日本語と日本文化を教えた。これらが第四部「二つの世界」の背景にある。
 第五部「無心と経験の歌」という題名は,おそれおおくもウィリアム・ブレークのまねをしたが,もちろんわたしはブレークの何分の一もえらくありません。しかし,それぞれのひとは、そのひとなりの無心と経験の歌があるでしょう。
 この詩集が出るにあたり,矢口以文さんのご好意でコール・サック社に紹介いただき,社長の鈴木比佐雄さんのものすごい熱意と理解に助けられて,わがままな本作りを楽しませていただきました。ありがとうございます!
(「あとがき」より) 

 
目次

第一部 ばらっど ひとつ,びらねる みっつ,そのたのみじかい詩,1969-73

  • ふつうの女の子に
  • 春になったなあ
  • だれかさんのおべんとばこ
  • いつも戸口までだったね
  • ことばはたねだ
  • なにか いいことが ありそうな気がする
  • あさじが原

第二部 ぬいぐるみの世界

  • ネコのおばあさん
  • イヌのおさむらいさん
  • おにのむすめさん
  • きつねのおよめさん
  • からすのクローさん

第三部 むかしの歌

  • たねのないリンゴをあげようか
  • ウィリー坊や
  • あなたの引き立て役
  • バラを集めよ
  • やなぎのこかげ
  • 夏のさいごのバラ

第四部 二つの世界

  • アイオワの春,1971
  • キットキットディズィにて
  • 独標
  • 月見草
  • To Ruth Benedict
  • To Val
  • 未亡人の窓
  • ミル・バレーのデービッドに
  • オハイオ盆踊唄
  • 松本
  • イェロースプリングズはいかがでしたかときかれて

第五部 無心と経験の歌

  • 無心の歌
  • 朝の出会いの歌
  • 気がついてみたら
  • わたしたちが良い時をすごしていると
  • 満月だったのが半月になり
  • O SOLE MIO
  • わたしたちが会えないでいると
  • 高原の恋
  • 魅惑の午後
  • ダロウェイ夫人のような
  • カワセミの日
  • 午後のコンサートホールから出ると
  • わたしたちは何も残さない
  • わたしたちは はだかのつきあい
  • なにもしない
  • ナショナルギャラリー
  • 無責任といえば無責任
  • 薬師寺
  • 朝の天使
  • 毎日毎日が
  • セントバーナード
  • ウィリー坊や
  • ウサギのとき
  • 唯我論

経験の歌

  • 立琴
  • 男と女は
  • いいあらそいのあとで
  • アスフォデル
  • グールドさん,ありがとう
  • 父の思い出 1936-1941
  • 後遺症
  • 母の思い出
  • けいちつ
  • クールベの世界のはじまり
  • 突出
  • 狭き門
  • この広い空の下で
  • タカラガイケの日曜日
  • ヘンゼルとグレーテル
  • ありがとう
  • 星菫派
  • 恋歌
  • カナダの葉っぱ
  • ほめうた

あとがき
略歴
初出一覧

 

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