1994年11月、七月堂から刊行された原桐子(1924~)の第5詩集。装幀は加藤登美子。
一九八九年秋、戸籍にひとり取り残された。一九九〇年四月から一九九二年三月までの二年間を、長女の兵庫教育大学大学院留学と共に初めて関西の地に暮した。彼地での暮しを此の世の旅・夢の通い路かと詩に心を託すことで息づいていた日々、見ず知らずの異郷の地・同世代の姿が全くみられない学生宿舎での心細い暮しが続く。そのような時に奈良・丹波篠山・室津……と詩心を誘う地を御案内くださった詩人・藤木明子さんには、どのようなお礼の言葉も色あせてしまう。共に旅した風街道、三世代で歩いたあの町この町。その想いを書き残しておきたいと詩集にまとめる意を決しましたのも又、この世への執着であろうか。
詩集を上梓するにあたり、関西在住の現代美術作家・加藤登美子さんに装幀をねがい、七月堂の木村栄治氏にお世話いただきましたこと厚く御礼申し上げます。
(「あとがき」より)
目次
1
2
- 奪衣婆
- 傾城阿波の鳴門Ⅰ
- Ⅱ
あとがき