1993年10月、図書出版まろうど社から刊行された与那覇幹夫(1939~2020)の第3詩集。装幀は高橋啓二。栞は福田万里子「澄んだ存在の闇」。まろうど現代詩選書4。著者は沖縄県宮古島七原村生まれ、刊行時の住所は沖縄県南風原町。
区切りを付けようと、これまで同人誌等に発表した作品の中から十九篇を拾い、中には改めて手を入れ一冊とした。この詩集は私には三冊目の詩集だが、前の二冊(赤土の恋・風の言ぶれ)が叙事詩篇なので、何篇かの詩を編んで一冊とするのは、この詩集が初めてである。詩集を出すときは幾らかの興奮と忸怩たる思いが同居する。だが区切りを付けることで、自分の詩を覚めた目で見据える契機にでもなろうかと、あえて出すことにした。
ところで十九篇を拾い終えてから気付いたことだが、そのほとんどが、日常と非日常のはざまの体温? を消去されたような領域からの詩であることに驚いた。それは私のおとろえか、それとも時代(おおげさだが)という環境が私を誘き出したかである。そのためだろうか、何か気が重い。
(「あとがき」より)
目次
- 立ち眩み
- 十月小夏
- サシバ
- さんご
- 風の一瞥
- ジョイナー
- 影武者
- いぬねこやぎ
- 白世(しらゆ)
- 水母
- 狂い風
- まなざし
- 落とし穴
- 夢街道
- 襲(うさぁ)りぃ
- 宿
- 風の悲鳴
- 鏡
- 石を孕み
あとがき