1991年11月、京都新聞社から刊行された現代詩アンソロジー。編者は現代京都詩話会。編集委員は有馬敲、角田清文、名古屋哲夫、山村信夫、武村雄一。
〈日本の心のふるさと〉と言われる京都は、今日まで多くの伝統文化を継承するとともに、他方では国際的に注目される最新の文化を創造しつつあります。こうした環境のなかで、現代芸術としての詩をアンソロジーとして発刊することは大きな意味があるものと考えます。
現代京都詩話会は一九七八年に発足し、京都在住の詩人が中心になって現代詩の合評会を続け、一九九〇年一月から会報『呼吸』を月刊で発行してきましたが、このたび流派・傾向等を問わず、京都在住及び関係のある方々に、アンソロジー『京都詩集』への参加を呼びかけました。
時代は二十世紀の終りに近づいてきましたが、このような時代、このような場所に生まれた現代の詩の軌跡を記録する貴重な資料として、この詩集が後世に残るような集大成となることを祈ってやみません。一九九一年七月
現代京都詩話会 代表 有馬敲
(「『京都詩集』発刊にあたって」より)
目次
- 水の心 浅野徹
- 満潮 浅山泰美
- 真贋 天野隆一
- 濠端より 新井啓子
- 雲の塔 荒賀憲雄
- 帰郷 有馬敲
- 満開の梅 有吉篤夫
- 幸福 青桐雪彦
- 旗 猪上清子
- 啓蟄 石川恵三
- 鮎の地図 伊藤公成
- 石段を登る 稲葉やよい
- 山頂 今西孝司
- ようこそ やすまさ君 上村多恵子
- 交点 遠藤カズエ
- セピア色 大石和雄
- ゆるしてくれ 賀川幸夫
- まだ… 賀川昌樹
- 昔話 角田清文
- ペリカンの翼 川口克己
- 遅日 川浪春香
- 吹雪ハンカチ 神崎崇
- 花子の幸せ 木村小夜
- ある自画像 小泉礼子
- 妻・視床・砂漠 児玉実用
- 虚数の時間を生きる 坂根秀
- キンモクセイ 左子真由美
- 死化粧 史麻雅子
- 玄関に懸けておく詩 下村三郎
- あじろの館 白川淑
- 野良猫 すえかわしげる
- こんな日には家には居られない 住田文子
- 水のにおい 武村雄一
- 鳥 立川喜美子
- 残照を歩く 立原昌保
- 充血の日付 田中国男
- 白線 田中宏輔
- ふりむけば 田中孝
- 父 谷口謙信
- 海へ 玉置保巳
- …ごっこ 津田文子
- 噂 得居俊子
- 空洞 苗村和正
- 席 中西弘貴
- 絕滅 長田大生
- いのち 名古きよえ
- いらくさの眠り 名古屋哲夫
- 情報列車 並河文子
- 位置 成川ムツミ
- 忘却とは… 根来真知子
- 清水まで 萩原健次郎
- 帰宅 長谷川進
- 水・アクリルガラス・鏡・大気 早川玲子
- 間道無宿 林崎二郎
- 並ぶ 早瀨秀
- 紙生活 日高滋
- 一九九一年五月十五日 平井うらら
- 消えた未来くん 平居謙
- 秋の日のうた 平塚景堂
- 渡り廊下 広岡曜子
- 亡妻記 福田泰彦
- バニシング・クリーム 古家晶
- ユーカラ 堀野風
- 小径 堀地芳
- 乳いろの部屋 本多清子
- 川 蒔田耕一
- 折り目 牧田久未
- 料理のおけいこ 正木美津子
- 秘湯伝説 松田加奈
- 幻燈機 松田敏子
- 火の匂い 松田征夫
- 五月の砦 三浦玲子
- インド幻想 ヤエ・チャクラワルティ
- 風紋 八木康敞
- 鬱々 薬師川虹一
- ベルリンの壁 安森ソノ子
- 杉の大樹 山川瑞明
- 食虫植物 山口賀代子
- 気をおびる物たち 山田英子
- 竹酔日には 山村信男
- 魚を釣るひと 由利俊
- 花ことば 横川澄夫
- ぼくらの自然に バカでかい 原子力発電所を ぶちこまないで下さい ルイ・まひろ
京都・現代詩の側画図――架けられた虹 田中国男