乾湿記 伊藤正斉詩集

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 1978年1月、VAN書房から刊行された伊藤正斉(1913~)の第5詩集。著者は瀬戸市生まれ。

 

 私の詩の先輩、木原実は「漂う草」という詩集発刊のあと、「コスモス雑記」で、「詩集を出すことははじめてのことで、いざできあがってみると少なからず驚きあわてた、見本刷りを読んでみたり、中味より装幀の方がはるかに立派だと思ったり、穴があったら入りたいと思ったりした。」と書いているが、私は今「乾湿記」の原稿をまとめてみて、同じきもちで自作を本にするのがいやになった。しかし、これまでめんどうをみてくれた寺島珠雄や、発刊について勇気づけていただいた伴勇氏等に、もうやめたということもできない。といういっぽうでは、ロクロ職人としては致命的な指を骨折し、そのうえ、珪肺病で廃人になってしまった人生のひとくぎりだという思いもあった。
 私が詩を書きはじめたきっかけは、和田久太郎の「獄窓から」であった。彼の「獄窓から」を読んで、アナーキズムを知り、マルクスレーニンを知った。しかしどちらもなまかじりで、徹底的に勉強したわけではない。しかし、まのぬけたテロリスト和田久太郎のくやしさというようなものは、廃人となった私のなかに、いまだに消えてはいない。
(「あとがき」より)

 

 
目次

  • 狙う
  • 鎮魂歌
  • 鎮魂歌
  • きこえてくる
  • 退却
  • 鹿島槍
  • 大寒
  • 夾竹桃
  • 夾竹桃
  • ハル・スミレ
  • 乾湿記
  • タッキリ・マカン
  • 乾く
  • 湿る
  • 花だより
  • 雉子
  • わたしの女
  • 大王崎にて

伊藤正斉小感 秋山清
初出覚書
あとがき


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