2017年4月、夏葉社から刊行された山高登(1926~2020)のインタビュー集。聞き手は夏葉社の島田潤一郎。装幀は櫻井久、中川あゆみ。書影写真は高見知香。
山高登さんは木版画家として知られています。昭和の風景を彫る鮮やかで、あたたかなその作品は多くのファンを持ち、毎年のように個展を開かれています。
山高さんは木版画家に転身される前は新潮社の文芸編集者でした。内田百閒、志賀直哉、上林暁らの担当をしながら、昭和二二年から五三年まで本をつくり続けました。
かつては山高さんの個展の在廊日に伺えば、当時の編集者時代の話をお聞きすることができました。しかし現在は九一歳で、ご自宅を出られることもほとんどありません。はじめてお会いした二〇一一年のときと比べれば、お話しされる量もずいぶんと減りました。
なるべく早いうちに山高さんの話をまとめ、それを本の形にして残したいと思ったのは、だんだんと目が見えなくなってきたとお電話で伺った二〇一六年の夏のことです。同年の八月四日、九月二七日、一〇月六日の三日間、山高さんのご自宅を訪ね、かつて版画を彫ったという部屋でお話を伺いました。部屋にはご自身が装丁を手がけられたたくさんの本があり、画家たちが山高さんにプレゼントした貴重な絵がありました。
(「はじめに/島田潤一郎」より)
目次
- 写真の話
- 少年時代
- 学生のころの話
- 戦争の話
- 戦争と本
- 山本有三さん
- 銀河の挿絵
- 駆け出しのころ
- 新潮社の話
- 新潮文庫
- 水上勉さんのことなど
- 吉屋信子さん
- 内田百閒さん
- 本づくりについて
- 私小説作家たちのこと
- 私小説作家たちのこと(続)
- 関口良雄さん
- 志賀直哉さん
- 香月泰男さん
- 島村利正さん
- 谷内六郎さん
- 土門拳さん
- 装丁の話
- 宇野千代さん
- 新潮社を辞める話
- 坪田譲治さん
- 井伏さん、小沼さん
- 書票について