2003年4月、思潮社から刊行された佐伯多美子(1941~)の第3詩集。刊行時の著者の住所は川崎市麻生区。
私が精神病院に入院したのは、一九七七年三月に器物破壊で警察保護・精神衛生法(現精神保健法)で小平のM病院に措置入院。病名は「精神分裂病」(現統合失調症)翌一九七八年二月退院。同年九月に再入院。一九八四年八月退院。二回の入院で入院生活は七年弱になります。しかし、その兆候はそれ以前、三年以上遡るようです。診断書によると、一九七四年十二月に世田谷のO病院で診察を受けて診断不明。幻聴幻視の兆候が出始めたのは警察に保護される数カ月前。かなり長い期間彷徨していました。この詩集では、その前後のことを、「正確」に書くことを心掛けました。記憶は、背骨に凍りついています。
現在は、武田病院のデイケアセンターに通っています。通いはじめたころは、細胞のひとつひとつが解き放たれていくのを感じました。
長谷川龍生先生に跋文を書いていただきました。謝意を申し上げます。龍生さんには深く眠っていた部分と、対峙する、力を引き出していただいたと思っています。それは、ひとりでは恐くてできなかったことです。オーラとホラをシャワーのように浴びて、リアルに体現していきます。龍生塾は古里のようなところです。
(「あとがき」より)
目次
- (絶対の)美
- 果て
- 精神病棟グリーン室
- (そして破壊)簀の子巻き
- 狂気の原型
- 前兆
- 前兆Ⅱ
- 閉鎖病棟(与薬)
- 閉鎖病棟(菩薩、に、なれる、かもしれない。)
- 閉鎖病棟(棺桶退院)
- 閉鎖病棟(娑婆)
- 闇の中のヒーロー
- 眠りへの軌跡
- 消された風景
- 白猫とわたくし
- 闇 共有するもの
- 共有するもの
- 全宇宙から解放され、赦された。
- ダレモ イレテ アゲナイ
- 彼方の海の
- ぐにゃっと垂れ下がっています――まっさらなたましいからの招待状
かくれた次元の思路に挑む 長谷川龍生
あとがき
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