1987年6月、宝文館出版から刊行された江間章子(1913~2005)のエッセイ集。装画は西丸震哉。
これは、〈夏の思い出〉の歌を愛し、うたってくださる方たちへおくる、私のメッセージです。じつは、私は俄かに思いたって、おなじ住居のなかで、私室と仕事部屋の引越しをしました。それから一年になろうとしているのに、資料や大切に思われるものは、いまなおダンボールにつめこんだまま、山と積んであります。この中にも、ここに入れなければならない沢山のものがある筈です。そうした状態でいる私に、〈夏の思い出〉について、纏めるようにとすすめてくださった山田野理夫氏、宮崎英二氏。お二方のお励ましがなかったら、この本はこうして早く世に出ることができなかったでしょう。
「〈夏の思い出〉の生みの親」と「檜枝岐に詩碑が建った日」のほかは、すべて、新聞、雑誌に掲載したものです。
かつて宝文館は、〈令女界〉〈若草>と、ユニークな文芸誌で多くの若人たちを啓蒙し、新人を育てた、あこがれの存在でした。そのかがやかしい歴史を持つ出版社から出版されることも、私には光栄なことです。
(「あとがき」より)
目次
・〈夏の思い出〉
- 歌曲〈夏の思い出〉の生みの親
- 水芭蕉のこと
- 〈花の街〉のまちを想う
- カッコーが啼くころ
- 私の〈花の詩〉
- キツネ(詩)
- 春が訪れてくる
- いつもふしぎな春(詩)
- たのしく、短かった夏
- りんご園で(詩)
- 秋から冬へ
- 秋・冬・くらしの想い出
- 自然の中で遊んで、学んで
- 詩と俳句のあいだ
- 左川ちかが置いて行ったもの
- 想いのゆくえ
・神さまはいたずら
- 〈仲人〉といわれ、また雨の夜更けの電話
- 歌・うたのまわりで
- ハレー彗星
- さようなら秋(詩)
- もうひとつの星
- 想い出に寄せる
- 神さまはいたずら
- 七時雨の向う側の詩人
- 祖母、母ゆずり
- TVで石原環境庁長官へ、私のお願い
- 〈夏の思い出〉詩碑が檜枝岐に建立された日
- 胸に残る不思議な絵
- ぐっと落ちついてみて
- 最近読んだ本から
- 山ぶどうと子供(詩)
- 〈平泉炎上〉をうたう
- 詩〈バスラ>のこと
- 〈猫〉にかかわる
- 〈知的水準〉問題は身近かに
・想い出のソ連の旅
あとがき