1979年7月、燎原社から刊行された堀川喜八郎(1922~2011)の第4詩集。題字は安永蕗子。装画は松下博。第12回九州文学賞受賞作品。
渓谷の里、菊池での生活のなかから生れた詩篇をあつめて、この詩集を出版することにした。私にとっては「公園」、「惜日抄」、「夏の錘」に次ぐ第四冊目の詩集である。
菊池での生活のなかからと言っても、作品化したものであるから現実をそのまま直載に表現したものではない。そのため読者には、私の意識の底にあるどこかの小さな町を具象化したものとして、受けとって欲しいという気持が強いが、とは言っても、菊池での三年間の生活がなかったら、これらの詩は生れなかったに違いない。
私は今、長年生業とした職を離れ、自適の日々を送っているが、日を経るにつれて清冽な水が湧く渓谷の里と、そこに住む人間性ゆたかな人びとを懐しむ心が高まってくるばかりである。結局人は、振り返ってみる時、自分を愛してくれた人びとこそ強く、心に残っていくものかもしれない。
(「あとがき」より)
目次
- 水は…
- 友
- 川
- 橋
- 水たち
- 例会
- 山
- 帰郷
- 隣人
- 蝉たちの夏
- 生誕
- 酒場で
- 紅葉
- 彼岸花
- 夕日
- 終バス
あとがき
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