蟬領 福田葉子句集

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 1999年6月、花神社から刊行された福田葉子(1928~)の第4句集。装幀は熊谷博人。口絵は乙丸哲延。花神俳人選。

 

 本集は、ひと昔も前に上梓した『冥宮周遊』に続く、私の第四句集に当ります。五年ほど前に句集上梓を思い立ち、当時、三橋敏雄先生より『蟬領』という句集名を賜りました。本句集には、三橋敏雄先生監修の「壚坶」第九号、第十二号に掲載された作品百句も含まれております。それから無為の歳月が過ぎ去り、『蝉領』の上梓を諦めかけておりました。
 そんなある日、中村苑子先生のお宅に伺った折に、たまたま花神社の福田敏幸氏も来訪され、お酒を召し上らない苑子先生をよそに、越後のお酒を頂戴しながら話が弾みました。と、突然「僕のところから句集を出しませんか」ということになり、まさに「瓢箪から駒」の譬えのごとく本決りになり、やっと日の目を見ることになりました。
 高柳重信先生がまだご存命の折、俳句を作ることに可成り行き詰ったことがありました。どうしても俳句が出来ないと、先生にご相談をいたしました。「僕の俳句の力を借りなさい」とおっしゃいました。それを契機として、私の俳句は師重信の発せられた俳句の、一語、一文字を拝借して、私の句のイメージを募らせてきました。ゆえに、『蟬領』は師重信の言霊を頼みにした句集とも云えます。そんな訳で当句集の各章名は先生の句の一節を頂いております。しかし、これからは何んとか自分自身を励まし新たなる出発をしなければと思っております。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 明日は 
  • 砂地図を指し 
  • 南に

  • 薔薇うかべ 
  • 死なば烈女や 
  • 死後も立つ
  • 青き王妃よ

  • 山脈の
  • わが骨
  • 地下に

  • 黄泉比良坂
  • 斜塔となって
  • 友よ我は 
  • 春夏秋冬

 

あとがき 
初句五十音索引

 

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