1975年3月、VAN書房から刊行された金堀則夫(1944~)の第3詩集。刊行時の著者の住所は交野市。
こに収録した詩篇は、愛の試行に生きづく少年期から青年期にかけての下絵であります。
美しい宝石に輝いた眼差しが、いつのまにか口先で脹らす愛の世界になっていったのです。自己破壊も、自己上昇もできなく、小我から大我へも到達できないまま、反芻をくりかえすもどかしさを感じてきたのです。
おのずと外部の威圧感が、”心の垢”として蓄積し、若者の反発も育ててきました。そのわくの中でのもがき、そして、ロマンを生もうとする態度が養われてきました。
軌道にはめ込まれ、はずすことも、壊すとともできない電車に乗せられ、おし込められている自分を見い出すしかないのではないでしょうか。この無数の生息する人間のなかで、自分自身、愛の手さぐりを、この場所で、この時間で試みようと、内面をさらけ出す、「愛のエスキス」をうたいたかったのかも知れません。
(「あとがき」より)
目次
・心の垢
- この領域で
- 雑踏
- 風あたりの街
- 鏡でうぬぼれを見るというが
- 誕生
・電車
- レール
- 軌跡
- 愛染
- 痴情
- 悔恨
- ロマン
- 挑戦
・愛のエスキス
- 強きもの
- 小さきもの
- 眼差し
- 新生
- 愛のエスキス
- 愛
あとがき