1992年2月、勁草出版サービスセンターから刊行された中島可一郎(1919~2010)の詩集。装幀は高橋弘。
急に思い立って小詩集を編むことにした。怠け癖がついているので、たとい小さな詞華のたぐいでもいざ拾い出すとなると結構億劫な思いをする。結局あれやこれやで二十編足らずのものしか手許に残らなかった。不思議なことにこれらはみなわたしが同人であった詩誌『火牛』に戴せたものばかりである。一九八三年から八年までのわずか五年間に書いたのものだが、当時を振り返ると『火牛』の雰囲気に支えられての所産であってみれば、同人のかつての温情は疎かにできぬものを感じる。
今回収録した詩編は、いままで書いてきた傾向と少しちがったものになったかと思う。大袈裟にいえばこれらは、現実を抽象し、曲がりなりにも文化表現の問題として生活過程の暗黙のなかに埋もれさせないことを願って編まれた。
(「あとがき」より)
目次
・明るい川端
- 明るい川端
- 明るい川端
- heaven
- heaven
- 夜の性 昼の性
- 飽食祭
- おれたちのheaven
- 土壌の王国
・湖畔図
- 湖畔図
- W
- 「乗馬」あるいはルージュ
- 波の上 安西均氏に
- ゆらゆら……
- 視姦
- 日日
- 五月のうた
あとがき