1975年2月、長帽子の会から刊行された高橋秀一郎(1937~1991)の詩集。長帽子叢書2。
ここにおさめた作品は、ここ数年間とびとびに書いたものであるが、これらの詩が作品としてすぐれているものであるかどうかなどということは、私自身にとって二の次にしたいという気持が強い。そんなことはどうでもいい。ただ私は、この時期に他にも沢山の詩を書いたが、いまここにおさめた作品には、私個人の私的な愛着が含まれており、これらをまとめて、私を知ってくれるごく親しい少数の人びとへ、私的におくりたいと思うのである。私が幼く、育った時代を、伏流などという発想でとらえようとする感情も、私だけの非普遍的なものであるかも知れないが、それならそれでいい。あくまでささやかな小冊子として、これらの詩を私的に残しておきたいと思うのが、いささかの感傷をまじえての私の気持なのである。
(「あとがきに代る短い覚え書」より)
目次
- 遡行幻野
- 遠い道
- 伏流の夏
- 青空の翳り
- 道についての序章
- 暗い九月
- 九月の動詞
- 声の荒野
- 構図
- 唖の村
- 谷の眼
- 辻
- 黄昏の領域
- 霧の橋
- 八高線の小さな駅舎は……
- 前橋まで
あとがきに代る短い覚え書